碁経衆妙の失題①
皆さん、こんにちは。 関西棋院棋士の星川愛生です。
しばらくAI関連の記事が続いたので
今回から碁経衆妙の失題をいくつかご紹介します。
碁経衆妙は言わずと知れた、有名な古典詰碁集で問題数も500題を超えるなど大作でもあります。
原本を始めとして橋本宇太郎九段、呉清源九段などの著名な棋士も研究して出版しております。
しかし問題数が多いために失題も何問かあります。
今回から複数回に渡って失題を解説していきます。
まずは問題図から
黒先で白を分断します。死活ではなく手筋の部類ですね

原本の正解図です。
黒1、白2の時に黒3のワリコミが手筋。
この手がパッと浮かべばアマ高段者でしょう。
白4の押さえに黒5と切り、見事に切断に成功しましたが…
実は黒3の時に白4とこちらから切って、白6につぐ手が手数を延ばす好手です。
白10までこの形はセキになります。切断しても結果がセキでは少し残念です。
セキなので黒も助かったとも言えますが…

橋本宇太郎九段の解説では攻め合いが気になるのなら
黒1~白4を先手で決めてから黒5、7と打てば良いとあります。
しかし、白8が粘りの一手でこの白はコウになりそうです。
この変化は呉清源九段の受け売りです💦
この図は呉清源九段考案の改良図です。
△の石が追加されました。
意味としては白石の手数を縮めたのとコウ対策ですね。
この図なら黒5で攻め合いが黒の一手勝ちとのことです。
今回の手筋は割と定番なのですが、定番故にその後を詳しく読まないのは人の常

私も今までこの問題は深く考えませんでした。
しかし実はセキ含み、コウ含みの複雑な問題だったのですね。
セキやコウで良いのなら原本のまま、白の粘りを封じるなら呉清源案でしょうか。
次回は2021年10月18日(月)に更新予定です。
内容は碁経衆妙の失題解説を予定しています。
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