AIはブロック数で着手が変わる?~三妙手その二~

皆さん、こんにちは。 関西棋院棋士の星川愛生です。

引き続きkatagoのブロック数で着手に違いがあるかを検証します。

ではまず、吐血の局第2の妙手を見てみましょう。
スクリーンショット 2022-02-24 205545.png
白1のカドが第2の妙手となります。
白△の影響もあって黒は2と備えました。そこで白3に回ったのが実戦となります。
白3は前回AIが最善として推していた手です。

では15bの分析結果から
15b_2500&25000②.png
今回の15b2500手25000手ともに白1のツケを推奨。
特筆すべきは25000手の図で、右下隅の白を捨て気味にしています。
最善としても、人間が採用するのはためらいます💦

次に40bの分析結果です。
40b_2500&25000②.png
40bでは2500手25000手ともに白1の打ち込みを推しています。
やはり右下隅は放置で左辺拡大を重視

最後に60bの分析結果です。
60b_2500&25000②.png
60bでも同じく白1の打ち込みを推しています。
しかし黒の応手が違っていて2500手は続けて左辺に
25000手は黒2と下辺にモタれています。

では今回のまとめに入りましょう❗
スクリーンショット 2022-02-24 235900.png
今回のまとめ
1.15bでは白Bのツケを推奨。
2.40b、60bでは白1のハサミを推奨。
3.40bでは黒2のトビに白Cなど右下隅より左辺を重視。
4.黒2で60bでは左辺に打ったり下辺にモタれたりして、
 黒も右下隅の白△の石は放置している。
5.実戦の白Aは0.2~0.7目損と評価。

さて、いかがでしたか?
今回はブロック数でやや違いが見られました。
具体的には15bは少し強引なツケ、
40bは白の打ち込みに黒は右下隅を攻める展開
60bでは白も黒も右下隅は放置となりました。

私が見るにブロック数が増えるにつれ、より高度な攻防が繰り広げられている印象です。
ただ実戦の手もAIから見ても最善とさほど変わらないのは
流石丈和といったところです
右下隅を捨て気味に打つのは丈和も当然考えたでしょうが、
大事な一局ゆえ安全策を取ったと推察します。

次回は2022年3月7日(月)に更新予定です。
三妙手最後の手の分析を予定しています。


この記事へのコメント

プロフィール

名前
星川愛生
誕生日:
6月19日
性別:
職業:
囲碁棋士
一言:
古典詰碁と囲碁AIに力を入れてます。

自作パソコンが趣味で機械系には割と強いかも?

最近はVTuberにハマっています(笑)

カテゴリ