レア棋書ご紹介『棋譜玄覧』未完成一合マスの攻略
皆さん、こんにちは。 関西棋院棋士の星川愛生です。
前回は棋譜玄覧から孔明にまつわる詰碁を出題しました。
棋譜玄覧は1833年に赤星因徹が作成した詰碁の本です。
棋譜とありますが詰碁だけで対局譜の収録はありません。
もしかしたら、昔は詰碁なども棋譜と呼んだのかも知れませんね。
赤星因徹は以前AIのブロック数検証で使用した「吐血の局」の対局者ですね
さて、本題に入る前に…皆さんは「一合マス」はご存知でしょうか?
1図の形が一合マスです。
他の手段もありますが、基本的に白1のオキでコウになります。
ちなみに黒Aの石がないと白1で黒が死にです。
2図が本題で白先黒死の問題です。
見ての通り、黒Bがないので未完成の一合マスと言えます。
白はどこから攻めるのが正解でしょうか?
正解は3図、白1のワリコミです。黒2と代わってからの白3が好手順です。
黒4は中々の抵抗ですが…。
4図、白5がコウを防ぐ手です。黒6には白7、9を先手で決めて
白11で欠け眼となり、黒死です。
5図は変化図です。白1に黒2とは意表を突く手です
『圍碁の研究』という本に「黒2はごまかしの手だが、奇抜だ。」
とのコメントがあります。
確かに秒読みとかで黒2と打たれると混乱しそうです
白は冷静に3、5と外から狭めて、最後に白7と隅の急所で黒死です。
6図、白1、黒2の後に白3と打つのは手順が悪く失敗です。
黒4とハネてからの黒6が良い手で、黒から7と8が見合いになっています。
一合マスというと、類型が多くとっつきにくいですよね💧
しかし、基本的に2の二が急所なので後はタイミングが大事といえます❗
次回は2022年6月13日(月)に更新予定です。
棋譜玄覧から引き続き詰碁を出題します。
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