AIによって打たれなくなった定石
皆さん、こんにちは。 関西棋院棋士の星川愛生です。
今回はAIの登場によって打たれなくなった定石をご紹介します。
せっかくなので実戦図を元に進めましょう

katagoとCrazyStoneというAIの対局です。
今回のテーマは左上隅です。
白24に対して黒は25、27と二段バネしました。
左辺に白を追いやる時に有効な手段です。
黒の二段バネには、現在は白1、3と打つ一手です。
黒は4、6と隅の地を確保します。
白は代わりに辺に展開した形になります。
では以前は打たれていた定石を見てみましょう❗
白1のハネから3のキリが手筋です。
かつては上辺に展開したい時はこの定石でした。
もしかすると皆さんも見たことがあるかも知れません。
実は私も以前はたびたび打っていました

しかし、現在この定石は全く打たれなくなりました💧
KaTrainでの分析です。
10万手分析しましたが、下ハネは1.2目損と出ています💦
とはいえ、定石は方向や配置が違うとダメな場合があります。
それでは三々を押さえる方向を逆にしてみます。
なんと、逆に押さえても下ハネは1.2目損になりました❗
これは下ハネからの変化は損と言えそうです。
結論
上の図、下ハネからの変化は白△と黒△の交換が損で味がない。
またXの部分にダメが空いているので白は中央を広げる手段がない。
比較として下の図、かみ取りの変化は後に白Aから中央を広げる手段がある。
また白Bの利き筋があるので後々役に立つ場合もある。
いかがでしたか?
AIの登場によって、新しい定石がたくさん産まれました。
しかし、その影では廃れてしまった定石も数多くあるようです。
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