『棋譜玄覧』未収録「小餌釣大魚勢」
皆さん、こんにちは。 関西棋院棋士の星川愛生です。
未収録詰碁を発見した経緯は前回の記事でお伝えしました。
では早速見てみましょう❗
赤星因徹作「小餌釣大魚勢」です🐟
白番の問題になります。
原図は不備があり、シチョウが成立しません💦
なので黒Aを付け足し、逆に黒Bにあった石を削除。
1時間ほど原図とにらめっこして修正しました(笑)
シチョウの形になるまで複雑なので、細かく図を別けます。
まず、1図の白1が正解です。黒が2とさえぎってからの白3が手筋。
白7と黒四子を取っても、石の下ですが…
2図、黒8のキリにわざと、白9と打って黒10と取られます。
3図、白11が好手です。
石の下の後に切るので「石の下の下」とでも言えば良いでしょうか?
黒12には白13と二目にして捨てます。
4図、白17からの19でコウになります。
普通なら白先コウで終わりですが、ここからがこの詰碁の面白いところです
5図、なんと黒は20とコウ立てを打ってきます
白はコウ立てがないので21と解消するしかありません…。
6図、白は23の一手で、黒は24で粘っていきます。
左上隅の黒と分断するために白25は必然です。
黒26に白27と切って、やっとシチョウが始まりました。
7図が最終図で223手までかかりました。
細かい手順が知りたい方用にリンクを貼っておきます「小餌釣大魚勢」
さて『碁の打ち方』には、この詰碁についてのコメントがあります。
意訳すると「この詰碁は赤星因徹が14歳の時の作品。丈和との吐血の局は有名で皆さんも知っておられるだろう。だが、この詰碁は知っている人が少ないと思うので掲載した。」といった感じです。
しかし、謎はいくつか残ります…。
なぜ赤星因徹はこの詰碁を「棋譜玄覧」に収録しなかったのか?
そもそも、この作者は詰碁をどうやって入手したのか?
『碁の打ち方』の作者である和田 実 四段もネットで調べてみましたが詳細が分かりませんでした💧
ですが、作風が「棋譜玄覧」と同じなので赤星因徹作で間違いないでしょう。
これを14歳で作ったとしたら、やはり凄い才能です❗
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