『棋譜玄覧』未収録「小餌釣大魚勢」

皆さん、こんにちは。 関西棋院棋士の星川愛生です。

今回は赤星因徹の「棋譜玄覧」に未収録の詰碁をご紹介します

未収録詰碁を発見した経緯は前回の記事でお伝えしました。
では早速見てみましょう❗

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赤星因徹作「小餌釣大魚勢」です🐟
白番の問題になります。
原図は不備があり、シチョウが成立しません💦
なので黒Aを付け足し、逆に黒Bにあった石を削除。
1時間ほど原図とにらめっこして修正しました(笑)

スクリーンショット 2022-08-29 215210.png
シチョウの形になるまで複雑なので、細かく図を別けます
まず、1図の白1が正解です。黒が2とさえぎってからの白3が手筋。
白7と黒四子を取っても、石の下ですが…
2図、黒8のキリにわざと、白9と打って黒10と取られます。

スクリーンショット 2022-08-29 221422.png
3図、白11が好手です。
石の下の後に切るので「石の下の下」とでも言えば良いでしょうか?
黒12には白13と二目にして捨てます。
4図、白17からの19でコウになります。
普通なら白先コウで終わりですが、ここからがこの詰碁の面白いところです

スクリーンショット 2022-08-29 223321.png
5図、なんと黒は20とコウ立てを打ってきます
白はコウ立てがないので21と解消するしかありません…。
6図、白は23の一手で、黒は24で粘っていきます。
左上隅の黒と分断するために白25は必然です。
黒26に白27と切って、やっとシチョウが始まりました。

スクリーンショット 2022-08-29 224741.png
7図が最終図で223手までかかりました。
細かい手順が知りたい方用にリンクを貼っておきます小餌釣大魚勢

さて『碁の打ち方』には、この詰碁についてのコメントがあります。
意訳するとこの詰碁は赤星因徹が14歳の時の作品。丈和との吐血の局は有名で皆さんも知っておられるだろう。だが、この詰碁は知っている人が少ないと思うので掲載した。といった感じです。

しかし、謎はいくつか残ります…
なぜ赤星因徹はこの詰碁を「棋譜玄覧」に収録しなかったのか?
そもそも、この作者は詰碁をどうやって入手したのか?
碁の打ち方』の作者である和田 実 四段もネットで調べてみましたが詳細が分かりませんでした💧

ですが、作風が「棋譜玄覧」と同じなので赤星因徹作で間違いないでしょう。
これを14歳で作ったとしたら、やはり凄い才能です❗



次回は2022年9月12日(月)に更新予定です。
棋士のお仕事として観戦記の様子をお伝えします。

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プロフィール

名前
星川愛生
誕生日:
6月19日
性別:
職業:
囲碁棋士
一言:
古典詰碁と囲碁AIに力を入れてます。

自作パソコンが趣味で機械系には割と強いかも?

最近はVTuberにハマっています(笑)

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