囲碁棋士のお仕事「観戦記」
皆さん、こんにちは。 関西棋院棋士の星川愛生です。
今回は棋士のお仕事として観戦記の様子をお伝えします
観戦記と言えば基本的には記者さんのお仕事ですが
棋士が担当することもあります。
私は昨年くらいから、何度か観戦記の仕事をさせていただいてます。
普段、ブログをやっているだけあって文章を書くのは苦になりません(笑)
流れとしては
1、「◯◯九段と△△五段の碁の観戦記をお願いします」との依頼を受ける。
2、棋譜を送ってもらい、事前に調べて質問する内容を決める。
3、勝者に解説をお願いして日程を決める。
4、当日、解説者に手の解説や普段の勉強法、今後の目標を聞く。
5、自宅で本図、参考図、解説文を作成して締め切りまでに送る。
になります。
私の場合は新聞に載る観戦記ではなくて、関西棋院の季刊誌や
会員向けwebページの解説譜が主です。
9月だと「全手マスター」を担当しています。
解説譜が載るのは10月になりますが
坂井健太郎二段とのエピソードが面白かったのでお伝えします。
坂井二段は香川出身で、彼が小さい頃から面識があります。
彼には森野節男九段との天元戦の解説をお願いしました。
解説が終わり帰ろうかと思ったら、坂井二段から
「もう一局、見てもらえませんか?」と言われて
坂井二段が別の棋戦で打った碁を検討することに
このパターンは初めてです(笑)
その時に勉強になる手を教えてもらいました🎵
白番で下辺の黒をどうヨセるかが問題です。
常識的には1図のハネですが、黒2で後にAの手入れだけで大丈夫です。
正解は2図、まさかのハサミツケです。黒2の抵抗には白3が妙手です❗
3図、黒4には白5とコウ含みの切り。白7でコウになっては黒は一大事です。
4図、黒4とつなぐのは白5で黒が攻め合いで負けます💧
以上のことから、黒は5図の2が正着です。
白3には部分的に黒4が相場です。1図と比べて白が1目強得しています
2図の白1は思い付いても、白3は奇想天外で盲点になります。
考える余地がないように見えても手はあるのにはビックリしました
坂井二段の研究量と熱心さに頭が下がる思いです❗
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