レア棋書ご紹介『新撰碁経衆妙』#2
皆さん、こんにちは。 関西棋院棋士の星川愛生です。
今回は以前、ご紹介した『新撰碁経衆妙』のお話の続きをお伝えします。
『新撰碁経衆妙』と『碁経衆妙後編』で
同じ詰碁があるのは以前お話した通りです。
1が新撰で2は後編ですが、丸で囲った詰碁は全く同じです
しかし、同じページ内の他の詰碁は全然違います。
詰碁自体は共通していますが、出す順番は全然違っていますね。
本当に謎です。
せっかくなので、問題の詰碁を出題します(笑)
見やすいように右上に配置しました。
白先で隅を生きます。
白1のカケツギが正解です。
眼を作るには石をナナメにするのがコツです。
黒4は鋭い手で、一瞬焦ります💦
しかし、ここで白5から7が冷静な着手で見事に白が生きました。
『新撰碁経衆妙』と『碁経衆妙後編』は
林元美の写本を元に出版したと思われます。
これは私の予想ですが、新撰と後編では
別の写本を元にしたのではないでしょうか?
その仮説の具体的根拠を次回お伝えします。
この記事へのコメント
星川先生も池田書店刊「呉清源の碁経衆妙」を持っておられるかと思います。
その第4巻攻の部24ページの解説は誤りだと私は思います。
黒1(2の2)については異論はないのですが、白2は(2の1)ツケが最善だと思います。以下、黒3(2の3)、白4(1の4)、黒5(2の5)、白6(2の6)、黒7(3の1)、白8(1の3)、黒9(1の1)、白10(1の5)、黒11(6の1)、白12(1の2)の順で白の有利なコウになると思います。
黒3で(3の2)なら白4(1の2)と打ってコウ。黒3で(3の1)なら白4(2の3)、黒5(3の2)、白6(1の2)の順でコウ。いずれも本の解説よりも白は良いと思います。
蛇足ながら、黒3で(1の2)は白無条件勝ちです。
いかがでしょうか?
「呉清源の碁経衆妙」は良い本ですよね。碁経衆妙の解説本では最高位だと思います。
誤りだとのご指摘のところですが、白2で『2の1』とは4図とは別の『2の1』でしょうか?
確かに白はそちらが最善かも知れません。
そのとおりです。
私のコメントの着手は『「左からの縦線の番号」の「上からの横線の番号」』で表しています。これはNHK杯の棋譜読み上げと同じで囲碁における一般的な表現だと思います。
4図の白2「1の2」は誤りで白2は「2の1」が正しい、というのが私の考えです。
そうなんですね。
最初に仰っていた図は白の有利なコウというよりは白が取り番の本コウです。
黒としてはその次に示された3で(3の2)グズミが良いでしょうね。これなら黒の取り番かつ白も負担もそこそこ大きいので。
しかし、いずれにせよ4図で示されている本コウよりは白の負担は軽いので局前無人さんが正しいですね。