囲碁棋士のお仕事「記録係」
皆さん、こんにちは。 関西棋院棋士の星川愛生です。
今回は囲碁棋士の仕事として記録係をご紹介します。
皆さんは記録係と言うと、どんなものを想像しますか❓️
タイトル戦などで長椅子の後ろに座っているのを
イメージされるのではないでしょうか。
タイトル戦は週に何局もありませんが、通常の対局は毎週10数局あります。
なので、記録係の仕事は毎週あります。
私は記録係が足りない時の助っ人として参加しています。
もちろん、院生時代は毎週記録をしていました(笑)
今は違うかも知れませんが、私の時は記録係は修行の一環でした。
関西棋院の検討室では、この様にモニターに対局中の盤面が表示されます。
モニターで盤面を確認して、パソコンに入力する形になります。
昔は対局室で記録していたので、そこは変わりましたね。
正確にはパンダネットのライブ中継用の入力と新聞掲載のための記録
基本的には、この2種類があります。
まず、ライブ中継の入力はモニターで盤面を入力するだけです。
しかし音声は聞こえないので目を離すと着手していたりします💦
またライブ中継は2局はあるので同時に見ないといけません。
次に記録は、基本的には昔からのやり方と然程変わりません。
モニターから着手を確認してパソコンに入力するのは中継と同じ。
中継と違うのは上記の碁罫紙に手順を書き込んで行く事ですかね❓️
碁罫紙は使った事がある方もおられると思います。
良くあるものと違うのは消費時間や終局時間を記入する箇所がある事ですかね。
年号の欄が平成なのは御愛嬌です(笑)
この用紙は初見の方が多いのではないのでしょうか?
これは時間付け用の紙でここに残り時間、考慮時間、
着手時の時刻、累計考慮時間を記入します。
対局時計を使用ぜずに対局室での記録であれば、
「〇〇先生、残り5分です。秒読みを始めます。」
などの時間の読み上げも行います。
秒読みはNHK杯の読み上げをイメージしてもらえば、だいたい合っています。
さて、実は記録で油断ならないのは最初の4手です(笑)
例えば、上記の碁盤を見てください。
手順は分かりますか❓️
初手は右上隅なので、上部の星が『1』で下部の星が『3』で間違いありません。
一方白はどうでしょうか…。
結論から言うと、この状態では左辺の白のどちらが『2』なのか判別不能です😵
黒は初手右上隅に対して、白は自由です。
左上隅と黒の隣に打つ人もいれば、対角線上の左下隅に打つ人もいます。
なので、ここは直接見ないと分からないのです。
しかし一局なら、簡単ですが場合によっては4面同時に入力する事もあります。
私はそういう時はスマホでモニターの画面を録画します。
プロ棋士の対局なのでどこかで手が止まるので、そのタイミングで確認します。
そうする事で4局同時入力でもこなす事が可能となります❗
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